araffordable watches

あくまでコスパの高い時計を求めて行く。時々は高い時計に目移りもする。

セイコー プロスペックス ダイバースキューバ LOWERCASEスペシャルエディションのUA別注モデル STBR011

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デザインが絶妙

LOWERCASEの別注モデルはファッション雑誌で目にしていた。名前的に、厚みの薄いケースを作ってる会社?と思っていた(笑)。ダイバーズは男性時計のカテゴリーの大きなひとつを締めているが、金額や大きさ含め本格的過ぎて、ある程度好きだという気概がないと躊躇してしまう。下記リンクの時計は店頭で試着したらデカすぎてビビりすぎた記憶がある。

mensjoker.jp

 

本格的なギアをそのままタウンユースするマーケティング活動を私は勝手に「ポテンシャルマーケティング」と呼んでいるが(笑)、CMでブランドの歴史やこだわりに感動して購入を検討したものの、店頭でその本格的な感じにギャップを抱く人も多いと思う。特にダイバーズウォッチは、本来の目的以外に買おうとする人が一番多いのではないだろうか。ファッション雑誌ではコーディネートする服の紹介などでバランス感を保つお手伝いをしてくれているが、本格ダイバーズを普段使いに溶け込ませるのはなかなか至難の業。

LOWERCASEは質実剛健セイコーのモノづくりを普段使いにモディファイする上で、すごく役立っていると思う。(デザイナーの苦労は相当あるとは思うけど)単純にはダウンサイズ。横幅で42.7mmだけどツナ缶部分は黒く、その中にベゼルがあるので文字盤部分はかなりコンパクト。そのためブラックボーイと比較しても少し小さくも感じる。また、その上でロゴとか文字盤の各パーツとの兼ね合いとか、ベルトの長さとか、全体感のまとまりがすごく良い。さらに、それでいてISOのダイバーズ規格を通しているという本格スペック。プロスペックスだから当然とは言え、たぶんこの時計はセイコーのホームページや直営ブティックで知るよりも(ユナイテッドアローズ限定だからなおさらだが)、ファッションアイテムとしての初見が多いと思うので、見た目だけ気に入って買えばそれでよし、実は本格的なダイバーズ規格を満たしている、というスペックは相当他と差別化されていて、魅力的に感じるのではないだろうか。値段も10万円を超える本格ダイバーズが多い中、実売数万円レベルで買える価格帯も含めてバランス感が高い。そう、総じてこの時計はバランス感が秀逸。そしてバランス感には、たぶんこの文字盤のデザインも寄与している。セイコーの初代ダイバーズをモチーフにしたこのデザインは、矢印やコブラの頭など視認性を第一にしたダイバーズの針が多い中、四角形を主体にしたシンプルでミニマルなイメージ。この時期のラインアップの中では、ユナイテッドアローズのモデルが唯一この文字盤を採用しており、他とは違ったまとまりの良さ、洗練さ、独自性を高めている。これ以外にLOWERCASEのモデルを所有していないのでわからないが、もしかしたらこの文字盤のデザインが一番の購入の理由かもしれない(笑)。

 

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ツナ缶のイメージは維持しつつ薄めでつけやすい

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ほぼ同サイズのブラックボーイとの比較 ツナ缶部分の色のおかげもあるが総じてミニマル感が強い

 メーカーとして機能を担保しつつ、デザインは他と積極的にコラボする姿勢はとても良いと思う。機能とデザインを決める上での中の人たちの衝突ストーリーとか知れるとより愛着や購買意欲が沸くかも知れない(笑)。

 

TISSOT SEASTAR1000 ティソ シースター1000


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私のダイバーズウォッチのキャリア(笑)は、セイコーのブラックボーイから始まり、タグホイヤーのアクアレーサーを買って一度は落ち着いて、その後はひたすらアフォーダブルなものを探し求めて来た。同じくセイコーのサムライとキネティックダイバー、オリエントのM-FORCE、直近はオリスのダイバーズ65とこのティソを購入している。



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ストラップはブラックラバーバンドが付属していたが、交換してある。サイズは43mmで重量112g。

 

ここでダイバーズの定義、これがあればダイバーズと言えるエッセンスを取り出してみよう。機能としては、防水性、視認性、計測機能か。水に強く、暗闇でも時刻が確認できて、潜水時間が分かる。例え潜水しなくても、防水は堅牢性のひとつとして安心感があるし、視認性は暗闇に特化するわけではないので、普段からも見やすい。防水性については、日本では身の回りの腕時計でも防水性が高いものもあったり、G-SHOCKのおかげで当たり前感はあるが、それでもクラシカルな腕時計を入れて考えるとダイバーズの防水性には価値がある。まあ機械式、とか、クラシカルな、とかのフィルタをかけた上での比較にはなるけど。もちろん歴史的にはロレックスとかが防水性の高さを牽引してきていて、それらなしには普通の腕時計の防水性はここまで広められなかったと思う。

ダイバーズはそういう意味で、やはり昔の、ほぼほぼロレックスでいいと思うけど、それにリスペクトを持って作られている。機能面は担保しながらも、見た目は当時のダイバーズがベースになっている。逆回転防止ベゼル、大きな夜光付きインデックスや針、高い防水性を彷彿とさせる分厚さなど。

後はそこに、現代的な解釈をどう入れるかが、各メーカーの腕の見せ所か。ベースでワイルド感、道具感、無骨感は出てしまうので、そこにさらに何かを足すのか、引くのか。



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ティソのシースター1000は、機能的にはすごくいい、という点は特にない。ふつうにダイバーズの定義を満たすような設計でしっかりと作られている(もしかしたら300m防水でシースルーバックというのは相対的には他にはあまりない特徴なののかもしれない)。私が選んだポイントは、デザインに、「太さ」と「細さ」の両方が感じられたから。ダイバーズは基本的にインデックスや針が太く、視認性がよい分、ちょっとコミカルというか、やや胴長短足感が否めなかったりする。それはそれで道具感、無骨感、機能美感とかを感じるが、文字盤レイアウト上ではやはりスタイリッシュ感は少なくなる。

そこにあって、このティソシースター1000は、針は非常に太いものの、色はシルバーで夜行部分がそこまで際際にきていない(外側のシルバーの面積もそこそこある)ので、光の加減によっては白い夜行部分のみが針に見えたりする。よって時に細さも垣間見え、特に遠目には非常にスタイリッシュに見える。インデックスも同様に側のシルバーが消えて見えるタイミングで、文字盤に占める面積が少なく感じ、結果としてスタイリッシュさが出てくる、といったもの。インデックスは針に比べると少し小さく感じるが、これは文字盤内の専有面積を少なくてスタイリッシュに見せるためと思っている。人によっては間延びしてる感は(ダイバーズの他のものと比べ)あるかもしれない。でもその太さと細さの両面が感じられるところが、自分的には気に入っている。

ケースのデザインは、正面が鏡面仕上げ、サイドはヘアライン仕上げに少しくり抜いた箇所を設けてそこを鏡面のコンビネーションにしている。少し宇宙船のようなデザイン笑。でもSEASTARのロゴが近未来的デザインなので合ってるのかも。

インデックスは立体感あり好印象。針は中央に縦に筋が入っており、多少の立体感あり。秒針は中央にTマークがついており、アイデンティティなんだろうけどこれはあまり好きではない。シチズンもCマークとかつけているのがあるけど安易感があって少しマイナス。

機能はふつうと書いたけど、もう少し書いておく。300m防水、サファイアクリスタル、セラミックベゼル、ETA2824-2をベースにした80時間駆動のパワーマティック80。裏はシースルーバック。ベゼルはカリカリと回りズレもなくピタッと止まり小気味がいい。これで直営プライスで8万円台なので、デザインが気に入ればかなりお得な気がする。


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ちょっと宇宙船っぽく感じるのは私だけか


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セイコーダイバーズをベースにするとスタイリッシュ感はあるが、サブマリーナやバチスカーフと比べるとそうでもないか。左はキネティックSKA371P1、右はブラックボーイ

 

って、ここまで書いた後にロレックスのサブマリーナ見たら、そっちもけっこう間延び感あるじゃん笑。私のダイバーズに対するデザインベースは、やはりセイコーダイバーズから来るものだったと改めて思った。ていうか、一番スタイリッシュなダイバーズとは何か、スタイリッシュに寄るともうダイバーズじゃないような、でもそれだけダイバーズのファンも多く、今後も様々な現代解釈でダイバーズの種類は増え続けていく気がしている。

 

ユンカース Junkers 6060-5シリーズバウハウス



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自分の中でパワーリザーブを追い求めている時代があった。これはそのコレクションの二本目に当たる。一本目のオリエントのがちょっとラグジュアリーに寄ったものだったので、もう少しカジュアルに使えるものを、と思い探してみることに。途中、aeromatic1912なるブランドなるものを見つけ、国産とは何かをいろいろ勉強しながら、またバウハウスデザインにも興味を持ちながら出会ったのがユンカース。軍用、ドイツ、バウハウス。タグをつけるとしたらこんな感じか。さきのaeromatic1912は、価格は安いが、ムーブメントの粗雑感があるというか。それにくらべてユンカースのこのモデルはミヨタで、バウハウス感もあり、そしてパワーリザーブがついているので候補になった。ミヨタに関しては、当時knotという日本の時計ブランドで社内初の機械式時計を作る際に取り上げられていて、このユンカースのムーブメントはそれのパワーリザーブ付き(同じ9000番代だからきっとそうだと思う)だから、品質もきっといいのだろうと。今思うとknotのマーケティングに少し乗りすぎた感もあるけど、トータルではいま思っても間違った選択肢ではないとは思う。

https://shop.junkers.de/en/

上記のサイトから購入。500ユーロくらい。そのときキャンペーンがふたつあって、ストラップをもう一本か、ワインディングマシーンが選べたので、ワインディングマシーンにした。ちなみにもともとは革ベルトがついていたが、手持ちのNATOベルトに交換して使用している。早速9時位置をぶつけてヒビが入ってしまい、当時相当凹んだことを覚えている。

 

文字盤は主張感の偏りがなく、非常にシンプルなデザイン。パワーリザーブの他に24時間計がついているが、他のクロノグラフにあるような、ごちゃつき感、機能満載感は感じない。文字と線の太さを統一して、それらの大きさの統一感も考えて配置されているからだろう。風防はプラスチックでドーム型でレトロな印象を与える。分針と秒針は先端が曲げられており、ドーム型の風防と合わせて唯一の曲面を演出している。そこ以外はケースの形状も含め全部直線的で、デザインの堅実さ、ドイツの堅苦しさ(いい意味で)を表現しているように思う。ユンカースのロゴはプロペラをモチーフにしているみたいだけど、他の時計は文字盤に大きく載せられているのに対して、このモデルでは12時位置に大きさ的にもうまく溶け込んでいて好印象。


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バウハウスって認証があるのかはわからないが、「らしさ」は確実に感じる。文字も線の一部と感じさせるような統一感。サイズは40mm


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ユンカースロゴも全体の中にバランスよく配置されている。秒針は8振動でブー(またはブルブルブルブル)っていう、6振動以下にはないスムーズさがある

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ケース、ラグには三次元曲面がなく(展開すると全て平面になる)、デザインの厳格さを感じさせる

 

裏面はスケルトン。装飾はローターの直下のみコートドジュネーブ加工されていて、あとは普通。ローターの外周がザラザラしていて光の反射によっては多少キラキラする。ローターが左回りにグルングルン回りやすく、人によってはうるささを感じるかもしれない。ムーブメントにレトロ感てあるのかないのか分からないが、表面とはなんとなくギャップがある気がする。ムーブメントのほうがなんというか現代的というか工業的というか。かといって手書きのエングレービングなんていれないだろうし、いっそのことスケルトンにせずステンレスカバーにロゴか文字を刻印してもよかったと思う。でもマイナス面とまでは思わない。

 

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裏面はスケルトン。動きが見られるのはいいが、ムーブメントにまでバウハウスっぽさは流石に出せないと思うので、ここはあえて見せなくてもいいようにも思う

 

ここまで書いて、全然パワーリザーブのために買った感じは出てこない笑。パワーリザーブで探していて、値段的にちょうどいいものがこれだったというだけか。まあこのカテゴリーの時計にパワーリザーブは外せないっていうものってないような気もするし、前にも書いたようにパワーリザーブの実用性は40時間前後だとあまり感じられないからなのか。バスハウスデザインは非常に特徴的で、このあとノモスに傾倒していくことになっていく自分として入り口のモデルだった。ドイツ製、ジャーマジアンについてのことはまだ知識不足で分からず、このブランド、モデルがそれに当たるのかは現時点で不明だけど、MADE IN GERMANYという表記は信じられるレベルのクオリティだと自分は思っている。

オリエントスター パワーリザーブ GMT SDJ00001B0


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これも機械式時計に興味を持ち出してすぐの頃に買った時計。パワーリザーブというものに惹かれて、ネットで最安値(ひとまずその機構を持つものを一番安く手に入れたくなる)で検索して出てきたものがこれ。23000円くらいだったと思うけど、ポイント利用したかも知れず、でも30000円はしていなかったと思う。自分が買うオリエントとしての初めての時計。GMT機能もついているがちゃんと使ったことはない。24時間で一周する針なので、外周の目盛りを九時位置を六時にして、太陽の日の出と日の入りみたいになるように使うとこの機能の存在意義が感じられていい。私は海外に関わることをほとんどしていないので。

 

 


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GMT針は24時間で一周する。日の出時刻を水平線に合わせると太陽の動きに連動してちょっと楽しい

 

サイズはベゼルが40mm、ラグtoラグが49.5mm、厚みは14mm、バンド幅は21mm。ベゼルとケースの色がが同じなので実サイズほどの大きさは感じない。ケースの表面はメインがヘアラインで、角を鏡面にしている。角を取るようにえぐりながら鏡面にしている感じか。鏡面部分は外側に行くにしたがって面積が大きくなっており、躍動感を感じるデザイン。厚みは少しある感じで、他のレビューにも書かれているが、ブレスレットが相対的に薄く感じて手首への収まりがあまりよくはない。ちなみにブレスレットの厚みは3mmで、もうすこしマッシブなものを採用してもよかった気はする。まあ他のに替えればいいか。風防は平面のサファイア。横から見ると平面らしさがよくわかる。リューズガードは形状的にアクセントになっている。リューズはブランドロゴとかはない。でも2つ両方か片方に刻印されているのもバランス的によくないのかなとも思う。


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ケースの仕上げ方はポリッシュとヘアラインを交互に組み合わせている


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リューズガードは少し特徴的か。リューズに刻印はなし


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横から見ると、風防の平面さと段差がよくわかる


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ブレスレットは三連で疑似。ケースの厚みや重さに対して薄い感じがする。が落胆するほどのものでもない

 

値段がすごく安い。パワーリザーブGMT、文字盤にも立体感があって、ケースやリューズガードの仕上げもよい。ただ個人的には、どのシーンで使っていいかよくわからない時計。スーツには合うが少しラグジュアリーで主張感が強く、カジュアルに使うにはキラキラしてて、とすると海外旅行か?実は文字盤のデザインに惚れて買ったわけではなく、パワーリザーブ基準で買ったのもあるからか、少し無味乾燥なレビューになっている気がする。でもこうやってレビューにしてみると、すごくコスパがいい時計に思えてきて、愛着が出てきた(笑)。買ったのは16年の秋だったが、その頃はオリエントの時計が安売りされている時かなんかだったのかな。パワーリザーブ針とGMT針があるので、普通の三針に比べて立体感はあるし、インデックスも立体的で、時計好きが見たら文字盤の構成から「おっ」と思うかもしれない。となると足りないのはブランドイメージの後押しなのか、なんなのか。ちゃんと作ってて機能的にも文句ない時計を後押ししたい気持ちはあって歯がゆい気がするけど、オリエントのブランド自体はおいおい応援していけると思う。たくさん買ってるし(笑)。

 

あ、肝心のパワーリザーブについては、すぐに貯まるわりに消費は遅いので、躍動感を感じなかった。パワーリザーブ搭載モデルは安くはないし、構造から故障率も高まるはずで、有用性は?なところがあるけど、その後も搭載モデルをたくさん買ってしまっているので(笑)、やはり何か求めるものがあるのだろう。各レビューで懺悔していきたい(笑)。

seiko SRP447 セイコー スーペリア レビュー

   
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seiko SRP447

思えばこの時計から、機械式時計、いや腕時計そのものに興味をもつようになった自分としてのエントリーモデル。
2000年ころに就職活動用にと買ったセイコーのキネティックが自分の中で機械式時計とずっと勘違いしていた。自動巻きの機構で電池を充電してクオーツで動くと知って買ったものの、そもそもクオーツの意味も知らず、中身が見えるわけでもなく、腕でシャカシャカシュイーンとする音が新鮮で、それだけで機械式のつもりでずっと過ごしていた。いや一応自動巻きだけど機械式ではないことは分かってたのかな。なんか当時は機能至上主義的なところがあって、スペックだけで選んでたような気もする。時計が動くプロセスまでは意識してなかったことは確か。でもそのときソーラーを選ばなかったのは、なんか手巻きとか自動巻きという言葉にカッコイイイメージを持っていたんだと思う。


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サイズはベゼルが44mm、ラグからラグまでで50.5mm、厚みは12.5mm。バンド幅は22mm

 

というわけで、その16年後、人生で初めて機械式時計を手にしたことになる。あ、書いてて気づいたけど、ネパールにて、チベットから来た行商が付けていたセイコー5の時計に一目惚れして現地人から買ったのを思い出した。あれは5だから本物なら機械式だったのか。まだ家にあるか探してみよう。じゃあ、正式にそれと意識して買った機械式時計がこれってことに。
だからこの時計を使って一日経ったときに、機械式はこんなにも誤差が出るものかとちょっとびっくりした。心配してネットで調べたら、どんなに高いものでも日差は出るとのこと。今まで自分の中にあった時計の精度に対するイメージ、そこそこ高いものは機能としても高いというこういう硬いモノに対するイメージが崩れるとともに、ちょっと親近感というか、愛着みたいなものが湧いたのも事実。精度の低さ(とあえて書くけど)が定番化してるという事実が、それだけ作り込むことの難しさを教えてくれるというか。みんな精度を高めることにはきっと心血を注いできたのだろうから、その上での日差なら、なんかそれくらい十分だよ、という気持ち。メダルは取れなくても、俺はお前がすごく頑張ってたことは知ってるぞ、みたいな。
…感じでいいのだろうか、機械式時計を持つ人の気持ちというのは。少なくとも自分はそうだ。
裏蓋がスケルトンというのもいい。中が機械でちゃんと動いてるいることの証。どこかで読んだ気がするけど、偽物と区別するためのメーカーの策だとも。そしてもっと機械式の中を見たいという気持ちがここからどんどん加速していく。


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ムーブメントは4R35B。自動巻き。手巻きもできる

買うきっかけはちゃんと思い出せない。でも安くていい機械式時計が欲しくなって、ネットで見てたらセイコーのが見た目以上に価格が安かったらセイコーの機械式をたくさん見ていたのは覚えている。アウトドアっぽいのを探していたのかな。当時の感覚で、価格と見た目のバランスのいいのをずっと探していたように思う。米国のアマゾンも探しに行って、そこで購入。165ドル。後に思えば、このガワならダイバーズのほうを買っても良かったような気がする。買ったあとで似た形に人気機種のモンスターというものがあったことに気づいた。この時計は、ベゼルは方位だし、防水は10気圧だし、ねじ込みリューズじゃないし、でもケースだけは頑丈みたいな。これを買ったあとに他のセイコーを見回したらみんなダイバーズ系で、自分はなんか違うものを買ってしまったような残念な気持ちも少ししてしまった。でも今は気に入っている。ベルトも全部黒くコーティング、ヘアライン加工もされ、ちょっと無骨だけど、性能は普通っていう笑、まさに自分にピッタリの時計だ。日本語での記事が全くなく、いったいこの時計がセイコーの時計のどの位置にいるものなのか、誰か知ってたら教えてください。あ、一応superiorというタグはついてました。


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ティソのエブリタイム スイスマティックから機械式時計製作の完全オートメーション化について思うこと


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スウォッチグループの中で、コストパフォーマンスにすぐれる時計をラインアップしているティソ。歴史はまだあまり調べてないからよくわからないけど、80時間パワーリザーブとか、クロノメーター仕様のものとかを他社よりもだいぶ安い値段で展開している。
そんなtissotから、90時間のパワーリザーブ仕様のものが出ている。名前はエブリタイム。昨々年から出してるみたいだけど、当時はクォーツのみだったようだ。ムーブメントがスウォッチのシステム51に似てる…そういえばシステム51もパワーリザーブ90時間。システム51は、51個という非常に洗練された少ないパーツ数で、しかも完全オートメーションで作られているムーブメント。スウォッチがクォーツを作ったときも51個のパーツで作ってたらしく、同じ数にこだわり機械式ももっとカジュアルにしたいという思いがあるのだろう。システム51採用のスウォッチは20000円くらいで、かつパワーリザーブ90時間というスペックで惹かれた記憶がある。でも海外のサイトで分解してるのを見て、脱進機とガンギ車がプラスチック(ぽい、少なくとも金属ではない)だったので、萎えてしまい購入する気が起きなくなった。外側もプラだから別にいいと思えればよかったが、その頃はまだなんか機械式は金属であるべきというか、そんな気持ちだった。
その中身を使ってティソからのラインアップ。ガワはステンレスで、パっと見はカジュアルなクォーツのよう。北欧デザインとかのミニマルなデザインで、いまのひとつの流れには乗ってるのかも。それでいて、中身は機械式。パワーリザーブ90時間。
この時計のおかげで、もしかしたら機械式時計に対する価値観が変わるかもしれない。いろいろ整理してみよう。


感じたことその1
機械式は高くて手間がかかる(ゼンマイ巻きや時刻合わせやもしかしたらオーバーホールの)イメージを少しは変えられるのかも。システム51はカジュアルすぎるきらいがあったけど、これはガワがステンレスでシンプルなデザインなので、いままで持ってたクオーツ時計を買い換える気持ちにはなりやすいかも。機械式は古典的でマニア向けというイメージを少しは崩せそう。もちろん、買う側に機械式自体の知識と興味が少しはある前提だけど。


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デザインはシンプル。オンオフ両方でも使える飽きのこなそうな佇まい

感じたことその2
ムーブメントが完全オートメーションで作られていて、オーバーホールは基本に無理(ネジでなくリベット留めされており、またコスト面からも設計思想側からも考えられていない)。自分で、または修理士に分解してもらえなさそうなところがマイナス。ポテンシャルの問題だけど、機械式はオーバーホールしなきゃいけないけど、すればそのぶんずっと使えます的なセールストークが染み付いているので(実際はメーカーがパーツ供給打ちきったら終わりだけど)、オーバーホールできないとなるとなんか哀しい。あとは機械式の相対的な立ち位置的に、ICとかの超微細なもの、テクノロジーを駆使したものは使いませんよ、という宣言(してないけど笑)との乖離を少し感じる。完全オートメーションで作られているということへの困惑。機械式という、他のムーブメントに比べて人間的で暖かみのあるものがそんな風に作られると、なんかどの引き出しにしまっていいかわからなくなってしまう。他のメーカーももしかしたら既にそうかも知れないけど、そんなことおくびにも出さない業界にあって、そこまでスパッと言われると、ずいぶんと機械式という言葉の意味を固定化しすぎてしまっている自分との対峙が生まれる。これを買ったとき、まわりからそれって機械式だけどオートメーションでしょ、とか言われたらどう答えるか。機械式だけどオートメーションをすることで、ロングパワーリザーブや精度の向上やもしかしたらメンテナンスフリーとかに貢献しているのかもしれない。いや、手作業こそが機械式の本望。でもそんな時計ばっかり集めてる訳じゃないしなあ…とかいろいろ。


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システム51にくらべ、ローターや地板が金属感あり。香箱がシースルーで巻き具合がある程度分かるようになっている

 

自分のなかでこの時計をどう評価したらいいかまだわからない。カジュアルに時計を使いたい(使いこなすほどの思いはない)が、歯車とゼンマイで動いている感覚をオシャレと思える人で、かつスウォッチよりも高級感のある時計を求める人向きか。なんかもっと刺さるキャッチコピーはないものか、メーカーの代わりに考えてしまうような笑、そんな時計のひとつではある。ラインアップモデル数の推移を見守りたい。

PAGANI DESIGN PD-1617 タグホイヤーアクアレーサーのオマージュ


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経緯

アリエクスプレスで中国の安い機械式時計を探していた頃、たまたま見つけた。タグホイヤーのアクアレーサーを持っていたのだが、一目見てオマージュというか、でも写真は素晴らしく上品で、これが7000円くらいで買えるのならいいかもと思い購入。


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いい点

・見た目はほぼアクアレーサー。ロゴ以外は多分縦横比率とかほとんど同じなんじゃないだろうか。

・ベゼルがセラミックっぽい。

・ねじ込み式リューズでダイバーズ感あり。

・ブレスレットが擬似じゃなくちゃんと三連。

悪い点

・金属のバリ感があって、ブレスの動きもギクシャク。擬似ではないものの、それぞれが独立してスムーズに動かない。何度もコジってなじませる必要がある。

・色味がなんとも言えない、焼けてダサくなったような色合い(笑)。

・日付のフォントがカッコ悪い。

・防水が3気圧なのが哀しい。

・拡大するとインデックスにゴミらしきものがついている。

・ケースのエッジ処理が甘くて丸みがある。

・ベゼルのクリック感は弱い。左右にユルユル動く。60クリックでも120クリックでもなく、数えたら90だった。

・分かってはいたけれど、上記の欠点以外にオリジナリティが感じられないところ。


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ベゼルはセラミックっぽくていい質感


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文字盤の色はなんかすすけたようなボケた色味


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リューズの側面にロゴマーク


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バックルは無垢で好印象


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3気圧か…正直でいいけども、もう少しいけたりはしないのか


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ブレスは動きがしぶいところが多々


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夜光は普通でいい感じ


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日付のフォントは独特 特に6と9

使ってしばらくするとバリのようなものは取れてきて、腕になじんできた感はある。サイズは43mm。

 

普段時計にはここまで辛口にはならないんだけど、何故かと思ったら、やはり購入サイトの画像が良すぎた点と、細部の詰めが甘いので、余計気になってしまうところにあると思う。オマージュが強すぎて、オマージュ元の時計との違いがあると余計そこだけ浮き出て見えてしまうというか、これはこのメーカーの味だよね、という風に捉えられず、欠点に見えてしまうからだと思う。外観を似せることに注力し過ぎて、細かいところまで気がまわってないような気もする。そして、そこに作り手に対する何だかなあ感を感じてしまう。分かってて買ってはみたものの、そういう買う側の視点も自認できて勉強になった。